第1章 出会い
地下2階の受付でチケットを渡すと
サトルはVIPルームに通された
フロアを見下ろす場所にあるソファに座ったサトルの所へ
知り合いが次々に挨拶に来た
「サトルさん!来てくれたんスか!」
「スゲー!ありがとうございます!!」
「オレ達この次なんでゆっくり聴いてって下さい!」
「終わったら打ち上げ行きましょう!」
サトルのテーブルに飲み物が運ばれて来ると
出番を控えた男達はワイワイと楽屋へ戻って行った
ステージでは
刺青だらけの若いインディーズバンドが何か喚いている
フロアの入り口近くにあるバーカウンターでは
先程の女が3杯のテキーラを立て続けに煽った後
バーテンダーに何か文句を言っていた
バーテンダーが首を横に振ると
女はショットグラスを足元に叩きつけた
そして女は
怒った様子でフロアを出て行ってしまった
「……」
サトルはソファから立ち上がると女の後を追った