第3章 1ヶ月後※
リサ side
1時間後
先にシャワーを浴び終えた私は
素肌にバスローブを一枚だけ纏って
ガラス窓の外に広がる夜景を見下ろしていた
初めての夜と同じこの広過ぎるスイートルームは
自分にはとても不釣り合いな気がして
視界に入ると落ち着かなかったからだ
そして
サラッとこんな部屋に連れて来るサトルは
やはり自分とは住む世界が違う人なのだと
とうに分かりきっていた事を
またもボンヤリと考えていた
あの店で会話を交わす程に
彼との距離をつくづく実感した私が
"早く2人きりになりたい"と半ば強引に頼んだのは
身体を重ねている間だけは
こんな私でもサトルと対等でいられるような気がしたからだった
彼はためらいながらも
最後には私の望むようにしてくれた
シャワーの音が止まり
バスルームのドアが開いた
サトルは
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出してひと口飲むと
私の方へ近づいてきた
「………クス……こんな端っこで…何見てるの…?」
彼はそう言って
私の背中を包むように抱き締めた
私は
もう何も話をしたくなくて
黙ったままサトルの腕の中で身体を回すと
彼の首筋に腕を絡め
背伸びをして唇に軽くキスした
「……」
『………どうしたの…?』
「……んー………何か………犯罪者になった気分…」
『………ハァ………ホントの事なんて…言わなきゃ良かった…』
私は心からそう思った
「……そんな事ないよ………リサのことは…何だって知りたい…」
そう言って微笑んだサトルの優しい瞳を見た途端
胸がチクリと痛んで
思わず顔を逸らした
苦し過ぎるこの状況から
早く抜け出したかった私は
深呼吸をすると
サトルの胸元にキスした
バスローブの隙間に指先を滑らせ
甘えた声で言う
『……サトル………イケナイ事……しよ…?』
「……リサ…」
下半身を密着させ
彼の脚の間に内腿を擦り付けながら
顎を上げて唇を近付けた
『……お願い……アナタが欲しいの…』