第2章 Hotel※
サトル side
" 深入りしない方がいい "
ライブハウスで最初に彼女を見掛けた時から
僕の頭の中にはずっと
警報が鳴り響いていた
なのに
気が付くと
彼女の後を追っている自分がいた
リサが抱えている傷
シャワーで隠した涙の理由も
僕には分かるはずなどなかった
けれど
勝気な表情の下に見える影の正体が何なのかを
考えずにはいられなかった
腕の中で小さな寝息を立てているリサは
さっきまでと違い
なんだかとてもあどけなく見えた
今はまだ
難しいことは何も考えずに
この寝顔を見つめていたくて
僕は
柔らかな彼女の頬に
そっとキスした
・
・
・
浅い眠りの中で
僕は懐かしい夢を見た
美しい蝶を追いかけて
暗い森の奥へと迷い込んでしまった
あの
少年時代の夢だった…