第5章 変化する気持ち
「ククッ、気持ちいいんだろ?」
「もう……っ!」
「オマエみてぇな犬なら、飼ってやってもいいな」
耳元で囁かれ、背中がぞくりと身震いした。
「っ……放して……!」
「飽きるまでっつってんだろ。ま、しばらくは飽きそうにねぇけどな」
「そ、そんな……」
「ほら、もっと力抜け。オレに身体を預けろ。ククッ、そうそう。たーっぷり可愛がってやるぜ?」
「(身体が密着してる分、顔が近い…!)」
私はぐいっと胸を押し、顔をアヤトくんから逸らした。
「ナニ逸らしてんだ。ちゃんとこっち向けよ」
「あっ!もう…恥ずかしいんだってば!」
「もっと恥ずかしいことなんて散々してきただろうが。今更純情ぶってんじゃねえ」
「な……!」
「さっきの授業中もオレの牙と舌で感じまくってたくせに。声我慢できなかったもんなぁ?」
「ダメだって言ってるのにアヤトくんがわざと声出させようとするからでしょう!?授業も全然聞いてないし…!」
「あんなクソつまんねー授業聞いてられっかよ。オレはオマエで遊ぶ方が退屈しのぎになるからな。噛んで舐めて、オマエの恥ずかしい顔見ンのはすげー楽しかったぜ」
「私は全然楽しくなかったよ!」
ノートも取り忘れるし
アヤトくんにはいじめられるし
授業には集中できなかったし…!
「もう、アヤトくんのばか。」
「バカって言う方がバカだろ」
「いひゃっ!!」
むぎゅっと頬を摘まれる。
「何でいっつも頬を摘むの!」
「弛ませてやろうと思って」
「あ、悪質ないじめだ…!」
「おーオマエをいじめんのはサイッコーに楽しいぜ。反応がおもしれーし、オレが追い詰めるとすぐ泣くしな」
「笑って言わないでくれる!?」
「だからオマエはオレだけ見てろ」
「!」
「他の奴なんかに目移りすんじゃねーぞ。オマエはオレのモンなんだからな。……んっ……チュッ」
私を抱きしめながらアヤトくんは唇を重ねる。最初の頃と比べてアヤトくんのキスは優しくなった気がする。
だからきっと私も、アヤトくんとのキスが気持ちいいと思い始めたのかもしれない…なんて。
next…