第3章 初めてのキスは鉄の味
「初めてのキスは好きな人としたかったのに…」
「好きな人だぁ?そんなのオレ様が許すはずねぇだろ」
「な、なんでアヤトくんの許しが必要なの?」
「オマエはオレ様のモノだ。頭のてっぺんから爪先まで全部。もちろんオマエの血も。だからオマエの初めては全部オレ様がいただく」
「!?」
「他の野郎に渡してたまるか!」
「んっ…!?」
どこか苛立った様子でアヤトくんは私の後頭部に手を伸ばし、そのまま引き寄せ、唇を重ねた。
「はっ……ん……チュ。」
「あっ…や、やめ…」
「うるせぇ。黙ってオレにキスされてろ」
「ふぁっ…んっ……んんっ…」
「っ……んっ……ちゅ。」
「(頭を押さえつけられてるから逃げれない…!どうして急にこんな…!)」
ぬる…っ
「んっ!?」
アヤトくんの舌が歯列を割って侵入してきた。ビックリした私はアヤトくんの胸をドンドンッと叩く。
「あっ…んっ!いやっ…!」
「っ、逃げんな…!」
ぐいっ
「んんっ!!」
顔を逸らそうとしてもアヤトくんが更に深く唇を重ねる。私の逃げる舌をアヤトくんの舌が逃がさないように追ってくる。
「(だめ…ぼーっとしてくる…)」
「んっ…チュ…はぁ…っ」
「ん…んん…もう…やめて…っ」
「チッ…そんなに嫌かよ。オレにキスされんの」
「…な、なんでそんなに怒るの…?」
「はぁ?何でオレが怒るんだよ」
「怒ってるじゃない」
「怒ってねぇよ!つーかオマエもう黙れ!」
「(またキス…!)」
「チュ…んっ…クソ…何でオレが…チュッ…オマエみたいな地味女…んっ…」
「んんっ…あっ…ふっ…んっ…」
「クソ…ッ…わけわかんねぇ…っ!……チュッ…はっ…チュゥー…」
「あ、アヤトくん…もう…やめ…んっ!」
キスの合間にアヤトくんが何か言ってる気がしたが、唇が離れてはすぐにまた重ねられ、その繰り返しに、私は呼吸するのが苦しかった。
「(そんなにキスしたら唇がふやけちゃう…)」
そう思いつつも、アヤトくんのキスはまだ少し続いたのだった…。
next…