第22章 唯一望んだもの(❤︎)
「…いいや、なんでもない。こんなこと願わなくたって、いつまでも待つって決めたのはボクだからね」
「?」
「ふふっ、こっちの話。それより…」
一瞬、悲しげな顔をしたかと思えば、すぐにいつものライトくんに戻る。
「せっかくいい夜なんだし…今夜はここで血を吸わせてもらおうかな」
「きゃっ!ら、ライトくん…」
ライトくんが私を引き寄せる。
「たまには気分を変えないとね…んっ」
「あっ……」
キバが首筋の皮膚にゆっくりと沈み、血を吸われる私はふるっと小さく身を震わせる。
「あとでちゃんとキスもしてあげるね。キミの大好きな、深くて甘ーいキスをさ…。だから今は別の甘い果実をちょうだいよ…んっ…」
「あ、ライトくん…っ」
「……っ……はぁ……やっぱり……メグルちゃん……キミの血の味は……」
「んん……っ」
「どれだけ吸っても……んっ……飽きない……特別だよ……んんっ」
「……はぁっ……ライト……くん……」
「甘い吐息…気持ちイイんだね。いいよ…その声でもっとボクを誘ってよ……んっ……」
「(それはね、ライトくん…。私の血が特別って思うのはきっと…私が天使だから…天使の中でも高潔な血を持つからなんだよ…?)」
"私"が特別だから血が甘く感じるんじゃない。私の中に流れる"天使の血"がそうさせてるの。
「……んっ。……?どうしたの?メグルちゃん?」
「っ……!ううん…なんでもないよ?」
「…そう。ならイイや。はっ……んっ……」
「…………っ」
ライトくんは私自身を選んでくれた。"あの人"と私を重ねて見てるんじゃない。彼はちゃんと、私だと認識して血を吸っている。
「んっ……ねぇお花ちゃん。唇を甘噛みしてるけど…もしかしてキスが待ち遠しいの?」
「…そう、だよ。だから…早くキスして、ライトくん…」
急かすようにライトくんの服を軽く引っ張る。優しいキスをしてほしい。私を愛してるってくらい、深くて甘い口付けが欲しい。
「んふっ…可愛いね、ボクの愛おしいお花ちゃん。そんなキミがボクは大好きだよ。」
「……………」
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