第22章 唯一望んだもの(❤︎)
【バルコニー】
「あ、流れ星…!」
夜空を翔ける星がキラリと光り、流れる。
「(ライトくんとこのままずっと一緒にいられますように。)」
今はまだ、愛してるの言葉を伝えることはできないけど、せめて好きな人の傍にいたい。どうか…この想いを素直に伝える日が来ますように。
「ふうん、流れ星ねえ…。それって願い事をしたりするんだっけ?」
「星が流れている間にお願い事をすると叶うって言われてるんだよ」
「ほんっとキミってそういうくだらないことが好きなんだね」
「だって綺麗じゃない。私、星を眺めるの好きなの。宝石みたいに輝いて目を奪われちゃう」
「ボクはどんな宝石よりも、お花ちゃんの方が綺麗だと思うけどね、んふ。」
「!」
「なーんて、クサかったかな。ふふ…顔が紅いよ?」
「…ライトくん」
「照れ隠しで睨んでも可愛いだけだよ。んふ…それで何を願ったの?ボクにも教えてよ」
「………………」
「あれ?言えないようなお願い事でもしたのかな?んふっ」
「…願い事を言うと叶わなくなるんだよ」
「そんなの迷信でしょ。ま、でも…お花ちゃんの願い事は言わなくても大体わかるよ」
「え?わかるの?」
「ボクとずっと一緒にいられますように…でしょ?」
「っ…………」
「そんなこと願わなくても、もうキミはボクのモノなんだけどな」
図星を突かれ、頬を紅く染めたまま、悔しげに視線を逸らす。願い事すら見抜かれている。なんだかとても恥ずかしい。
「そういうライトくんは?流れ星に願い事、しなくていいの?」
「ボクが流れ星に?面白いこと言うね、流れ星なんかに願わなくたって、ボクの一番欲しいものは既に手に入れてるし、わざわざ願い事なんかしないよ。それにあんなちっぽけな星に願ったところで、本当に叶うかどうかも疑わしいしね」
「…一番欲しいもの?」
「んふっ…お花ちゃんに決まってるじゃない。ナニきょとんとしてるのさ」
ライトくんが可笑しそうに笑う。
「でも…そうだね、もし流れ星が願い事を叶えてくれるなら、ボクの欲しいものはあとひとつ、かな」
「何?」
「もちろん、キミからの…───」
「(私からの?)」
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