第2章 悪戯好きのトラブルメーカー(√)
「嫌いな男に触られまくって気持ちよくなってんじゃねぇよ、変態」
「へ、変態じゃない!」
「オマエは誰にでも触られたら体震わせて感じる変態だろうが」
「っ…………」
「さぁて、どこまで声抑えられるかな?ククッ、いくぜ?…んっ…」
あまりの痛さに体を捩らせる。でもアヤトくんがしっかりと押さえているため、痛みから解放されることはなかった。
「ククッ、頑張るじゃねぇか」
「アヤトくん…もういいでしょ?アソビはこれくらいにして放して…」
「はぁ…強気だな。余計声出させたく、なるっ」
「ん…んんー!」
「はぁっ…」
「いっ、やっ!放してっ…!」
「逃げんなっての!はっ…んんっ!」
「い、痛い!痛いアヤトくん!」
「…っはぁ。」
「(あ、頭が…クラクラして…)」
「…っはー。」
薄れていく意識の中、アヤトくんの血を啜る音だけが聞こえる。
「おっと、ちと吸い過ぎたか?」
支えを失った体は倒れる前にアヤトくんが抱き留めてくれた。ぐったりとした私の顔を見下ろすアヤトくんの表情が愉しげに歪んだ。
「いいな、このシチュエーション。またやろーぜ。新しいアソビが増えればその分、楽しめるだろうしな」
「(身体の力が抜けて…動けない…)」
「さって、腹も満たされたし帰るか。じゃあな、地味子」
「え…!?」
まさかこのまま置いて行くつもりなの!?
「あ、アヤト…くん…」
「と思ったが…ま、下級魔族にでも襲われたらつまんねーしな」
そう言ってアヤトくんは貧血で動けない私の体を抱き上げる。
「オマエはオレの餌兼遊び道具だ。血出したままフラフラすんなよ。オマエの血の匂いはヤベェからな。どんなヤツが寄ってくるか分からねぇ」
「(フラフラすんなって…誰のせいだと…)」
「特別にオレ様が連れ帰ってやるんだ。光栄に思えよ」
「(悔しい…でも…たまにこういうことされると…どういう顔していいか、困る。)」
「あともっと肉食え。軽過ぎんだよオマエ。栄養つけてちゃんと血の巡り良くさせとけ。美味い血が吸えなくなんだろうが」
「うん…ごめんね」
珍しく優しいアヤトくんに運ばれながら私達は学校を後にした。
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