第21章 不確かな繋がり
「あと、こうやって…ボクにいじめられるのも、本当は大好きなんでしょ?んっ…チュッ」
「あっ!んんっ……」
もう思考が回らなくて考えることすら出来なくなる。気持ちいい。触れている場所、囁くような声。全てが私を甘い快楽へと落とし続けていく。
「(ダメ…気が遠くなってくる…)」
「んー…チュッ…ねぇお花ちゃん。なんでレイジから薬をもらったの?今ならちゃんとした理由、教えてくれるよね?」
「っ…死に…たかったの…」
「ん?死ぬ、だって?」
「──独りで頑張ることに、疲れたの…」
「お花ちゃんってば…死にたいのなら、ボクに言えば良かったのに…」
「頼んだら…ライトくん、私を殺してくれるの…?」
「いいよ。可愛いキミの頼みだ。殺してあげるよ。この手でね?」
「本当に?」
「──本当だよ。ボクの可愛い、お花ちゃん。キミを殺すのは、毒やナイフじゃない。ボクの手だからね。約束だよ?ちゅっ…」
「じゃあ…安心だね。私が、殺してって言ったら…絶対に、そうして…」
私が呪いに殺される前に、ライトくんの手で死ねますように。ねぇそうしたら…母様と同じ場所に行ってもいいよね?
「(もう独りで頑張らなくていい…)」
レイジさんがくれた薬。
あれは、死ぬ為の薬ではなくただの催淫剤だった。
やっぱり、彼らは信用することのできない人たち。もちろんライトくんだってその中のひとりに違いない。
わかっているけど、私は、彼がしてくれた約束が、嬉しくてたまらなかった。
────殺してあげるよ、この手でね。
それを聞いて私は、どこかでホッとした。彼が私を殺してくれる。あなたの手で、私は死ねる。これがどれほど喜ばしいことか、きっとライトくんは知らない。
夢の中の【誰か】に身勝手に掛けられた死の呪い。それを解くために私を愛してくれる運命の人との出逢いが必要だった。その人と永遠の愛を手に入れて二人で幸せになれたら…なんてつい最近まで願っていたけど…今はもう、生きることに縋っても、自分が壊れていく一方だと気付いた。
魔族と関わって、しかも繋がりを得た時点で私は神様の掟を破った。彼に…堕ちてしまった。神様はきっと罪を犯した私を許さない。それなら自分の罪を償うべきだと思った。
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