第20章 壊れ始める恐怖
「(っ…痛い。痛くて息ができない…っ)」
私は痛みで顔をしかめ、ライトくんを見る。
「助けて…」
「助けるって言ったって、ボクはお医者じゃないんだよ?」
「っ…………」
私が助けてって言ったら、助けてあげるって前に言ったのに。
「はぁ、はぁ…」
「随分苦しそうだね。涙まで浮かべちゃってさ。大丈夫?息できてる?」
「…っ…はぁ…はぁ…は、ぁ……っ」
「──んふ。落ち着いた?」
平然と聞いてくるライトくんに苛立ち、顔を背ける。
「あれ?無視?ひどいなあ。」
段々と胸の痛みが和らぎ、ふぅっと小さく息を吐いた。
「…ねぇ、お花ちゃん」
「?」
「吸わせてよ。キミがハァハァ言ってたせいで、ボクまで興奮してきちゃったんだ…」
「っ…………」
「なーんで、キミはいつもそうやってボクから逃げようとするの、かなっ!」
「きゃ……っ!?」
ドサッとソファに押し倒され、驚いてライトくんを見つめる。
「どこがいい?」
「これ以上、血は…」
「怯えた顔もイイね。可愛いよ。でもキミのお願いを聞く余裕もない。ほら…抱きしめててあげるから気持ちよくなろうね」
「え!?ちょっと待って…!」
興奮しているのか、ライトくんの口調が早くなり、私を逃がさないようにギュッと抱きしめる。
「…じゃあ、今日は…この柔らかな胸からにしようかな…んんっ…」
「あっ!やだっ…!」
「はぁ…んん…んっ…はぁ…イイ、甘いよ。やっぱりキミの血は最高だ」
「は、ぁ…や、めて…っ」
「この角度から見るお花ちゃんも可愛いよ。嫌がってる割に気持ち良さそうに身体を震えさせてるの、すごくイイ…」
「(コーデリア…ライトくんが愛しいと思う人。彼から“愛してる”をもらえる人。悔しい…彼女にライトくんを渡したくない。)」
彼が本気で私を好きにならないことは知っている。どんなに好きだと囁かれても、彼の中にはずっとコーデリアの存在がある。
「(それでも私は馬鹿みたいにライトくんの愛を求めてる。呪いを解いてくれる特別な者がライトくんだと信じたい。いつかライトくんが、本気で私を愛してくれるんじゃないかって…叶いもしない期待を抱いてるんだ。)」
next…