第19章 三つ子の母
【自室】
空が白み始め、そろそろ休もうかとベッドに入ろうとした。
「……すー……すー……」
「っ!?」
何故か私のベッドでライトくんが寝ていた。
「(どうしよう?ここで起こすと面倒なことが起こりそうだし…別のところで休もうかな。)」
「───どこ行くの、お花ちゃん」
「っ!?お、起きてたの?」
背を向けた途端、いきなり腕を掴まれ、驚いて後ろを振り返った。
「ご馳走の匂いがしたから、目が覚めちゃったよ」
「(ご馳走って…)」
「どこに行くの?もう夜が明けるよ。休まないとお肌に良くないんじゃないの」
「それは、そうだけど…」
「──こっちおいで。ここ、空いてるよ?」
「でも……」
「早くおいでって…」
「きゃっ!」
「そう。一緒に寝ようよ。んふ、顔が紅いよ。ドキドキする?」
「っ…………」
腕を引っ張られ、ライトくんの隣で寝転ぶ。なんだかんだで、こうして一緒に寝るのは初めてかもしれない。
「お花ちゃん?」
「こうしてひとつのベッドで寝るの、初めてだなって…そう思った、だけ」
「んふ。可愛いこと言うねえ。ドキッとしたよ」
「本当のこと…だけど」
「もしかして、待ち望んでた?」
「そんなこと…」
「んふ、お花ちゃん、可愛いね。もっとこっちに来て」
嫌だとは言えず、ライトくんの方に身を寄せる。
「そう。はぁ…なんだか、興奮してきちゃったじゃないか」
「?どうして?」
「バカだね。お花ちゃんは」
「いきなりディスるのやめてもらっていい?」
「──ほら、手貸して…」
手を掴まれ、ライトくんの胸に触れる。
「どう?ドキドキいってるでしょ」
「…何も聞こえないよ…」
「ああ、それはそうだよね。ボクらはヴァンパイアだったよ。どうも、人間と一緒に生活していると、ボクらにも脈打つ心臓があるような気がしてしまうんだ」
「……………」
「まあもっとも、心臓らしきものはボクらにも一応あるんだけどねえ。とにかく、キミに今ボクが欲情してるのは確かだよ」
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