第18章 お似合いのカップル
「(さすがに人前で唇にキスはしないよね…?)」
「お花ちゃん」
「!」
「好きだよ………んっ……」
「んんっ!?」
「ん……チュッ……」
「(っ……!!)」
本当に唇にされるとは思っておらず、驚いて目を見開いた。店員のお姉さんも赤くなった顔を両手で覆っているが、指と指の隙間から覗いているのがバレバレである。
「ふっ…んんっ…」
「んー……チュッ……んんっ……」
「(しかも長い…!!)」
「チュッ…ふふ、なぁにお花ちゃん。驚いた顔しちゃって…可愛いなあ。んん……。」
「んっ……ちょっと待っ……んぅっ……」
息が苦しくなってライトくんを引き離そうとするがビクともしない。
「あ、あのあのっ!も、もう…大丈夫ですっ!お二人は正真正銘のカップルです!」
「ん……チュッ。良かったね、お花ちゃん。これでボクたちが恋人同士だって証明してもらえたよ。頑張った甲斐があったね♪」
「っ〜〜〜!!」
お姉さんも私も顔が真っ赤だ。当の本人は悪戯が成功したような子供みたいな顔で笑い、恥ずかしさで涙目になっている私を見て声を弾ませた。
「じゃあマカロンを全種類もらおうかな。ねえお花ちゃん、屋敷に帰ったらボクの部屋でマカロンの食べさせ合いっこしよっか」
「もうこれ以上は…」
「キスくらいで恥ずかしがらないでよ。これ以上にもっと気持ちよくて激しいこと、ベッドの上でしてるじゃない」
「っ………!?」
「ライトくん何言ってるの!?」
お姉さんは顔を赤くしたまま固まった。そしてカチコチとロボットのような動きでショーケースからマカロンを箱に詰めていく。
「しかも唇にするなんて…!」
「お花ちゃんが唇にして欲しそうな顔してたからしてあげたんだよ。それに対して怒られるなんて心外だなー」
「なっ……!そんな顔してない!」
「してた。目がとろんってなって、相変わらず熱い目でボクのことが欲しいって誘ってたよ?」
「っ…………」
「図星だね」
私が何も言い返せずにいるとライトくんは可笑しそうに笑った。そしてお姉さんから"ご馳走様です!!"と謎の言葉を掛けられ、私達はケーキ屋を後にした。
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