第18章 お似合いのカップル

【？？？】


『…………』



『あら、ライト…。その血…また、殺しちゃったの？』



『そうだよ』



『ふふ。これで何人目かしらね。アタシの男ばかり狙って、本当にイケナイ子ね──でも、いいわ。こいつはもう用済みだから。こいつってば、愛だのなんだの言い出して、面倒だったんだもの』



コーデリアは死んだ男の亡骸を忌々しげに見下ろしている。



『──アタシが愛しているのはね、うふふ、憎くて憎くて愛しい、あの人だけ』



『……アイツは？』



『アイツ？ああ、リヒターのこと？リヒターは、所詮は間に合わせ…。身体が渇いた時だけの相手よ。ああ、でもアイツは何かと使える男だから、殺してはダメよ。利用できる内は、ね？』



『───ボクは？』



『ん？ライト、何か言った？』



『……んふ。なんでもないさ』



『ふふふ。おかしな子。まあいいわ、それより…今日のアタシはとっても寒がりなの…アナタの温もりが欲しいわ』



『分かったよ。貴女がお望みとあれば』



◇◆◇


【バルコニー】



「──貴女は、本当にイケナイ人だな…」



「え？」



「んふ。なんでもないよ。今夜の月が腐った卵のような色をしているからね。つい想い出に浸って感傷的になっちゃったのさ。“憎くて憎くて愛しい人”を思い出してね」



「っ…………」



「んふ。その表情…まるでボクの鏡を見ているかのようだな」



「それって…誰のこと、なの？」



「なんで気になるの？」



「なんで…？確かに…なんで、なんだろう？」



自分でも分からず、首を傾げる。



「んふ。愛しい誰かというのを知りたい理由なんて、ひとつしかないだろ」



「……………」



「──お花ちゃん、つまり、キミはボクを愛してるんだよ。」



「愛、してる？」



「んふ。そうさ」



「そんなこと…あるわけないよ。絶対に…」



「そうかなあ？ボクはそうは思わないんだけどね」



「…ライトくんは自意識過剰だね」



「じゃあ、お花ちゃんは、ボクにあんな非道いことをされておいて、どうして今、ボクと一緒にいるの？」



「それは…」



「こうして、隣にさ…」



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