第15章 生きる意味
「──その懐中時計がどうかした?」
「っ!?ら、ライトくん!?」
私はパチンッと蓋を閉じ、慌ててポケットの中にしまった。
「ん?優しいナイトさまだと思った?残念!ライトくんでした」
「(っ…絶対見つからないように出て来たのに、どうして?)」
「──どうしてって?教えてあげようか。キミにはね、見えない見張りがついてるんだよ」
「え?」
「んふ、気付かなかった?いついかなる時でも、キミを監視している、ボクらの使い魔ってのがいてね、彼らが逐一キミの行動をボクに報告する契約になってるのさ」
「(いつの間に!?)」
「ふふっ…急にあたふたし始めたねえ?見られたらマズイことでもしたのかな?んふ」
「そ、んなこと…」
「──ボクは聞いたよ?キミが夜、一糸まとわぬ姿で入浴中にしてることとか」
「な!適当なことを言わないで!!」
「恥ずかしがらないでよ。ボクはさ、キミのヒミツの場所を探ったことだってあるんだ」
「(ヒミツの場所!?)」
「まだまだこれから知らなくちゃならないことが沢山あるんだし、それくらいで恥ずかしがらないで」
「っ………!」
「ボクはね。本当は使い魔なんかじゃなくて自分自身でキミのことをずうっと観察していたいくらいなんだ」
「(へ、変態…)」
「キミは実に興味深い。その身体、そしてその身体の中に流れる血…なぜかクセになるような味がするんだ。まるで、甘い果実のようなね。これってどういう意味があると思う?」
「!!」
「あれ?お花ちゃん、顔が強ばってるよ。そんなに驚いた顔をしてどうかした?」
「な、なんでも…ない」
「そう?ボクの言葉に何か引っ掛かりを覚えたとかではないんだよね?」
「ち、違う……っていうか、どんどん近づいて来ないで!」
「それはできない相談だな、お花ちゃん…ほら、窓から月が見えるだろう」
「…満月?」
「そう。今更言うまでもないと思うけど…こういう日はね、特別に疼くんだよ」
「っ!」
「教会なんて場所はね、こんな日でもない限り、出来る限り入りたくない場所なんだ。でも、今日のボクは特別に欲張りだからね。キミが欲しい」
「わ、私は欲しくない!」
.