第14章 愛しの"アノ人"
【学校】
「(やっと休み時間…。ライトくんと関わり過ぎたせいか、それとも魔族の"気"に触れたせいか、今日は少し具合が悪い。)」
「お花ちゃん、見ーつけた♪」
「(最悪……)」
保健室に向かう途中で、いつもの如く、高確率でライトくんに見つかる。彼は青ざめた顔の私を見て、不思議そうな顔をした。
「どうしたの?お花ちゃん。いつもより…なんだか顔色が悪いみたいだけど?」
「…何でもない。」
「何でもない割に顔から血の気が引いてるね。もしかして具合悪い?」
「……………」
「まさかそんな状態で授業受けてたの?お花ちゃんはホント真面目だよね」
「ライトくんごめん…今ちょっとライトくんと話してる暇ないの…」
「そんなフラフラでどこ行くの?」
「…保健室。」
「ならボクが付き添ってあげる」
「いい…ひとりで行ける」
会話するのも辛くて、ライトくんの横を通り過ぎようとして、パシッと手を掴まれる。
「素直に甘えてよ、お花ちゃん。キミがボクに縋ってくれるなら、助けてあげるってこの間言ったでしょ?」
「(そうやって真面目な顔されると…調子狂う。)」
掴まれた手は冷たい。でも私を心配してくれるライトくんの好意は素直に受け取ろうと思う。
「…じゃあ、保健室まで付き添ってくれる?」
「もちろん。ほら、おいで。」
ギュッと手を握られ、いつもなら離してと訴えるのだが、今はそんな気分になれず、前を歩くライトくんと手を繋いだまま、保健室へと向かった。
◇◆◇
【保健室】
「付き添ってくれてありがとうライトくん。もう私ひとりで大丈夫だから…」
「んふ。でも、センセーいないし。ひとりじゃ困るでしょ」
「困らないよ…。ベッドに横になって休めば平気だからライトくんは戻っ…」
「でもー……」
「きゃっ!!」
肩を押され、ベッドに倒れ込む。ライトくんが上に覆い被さるのを見て、私は目を見開く。
「こんな風に、寝てたらさー…汗かいちゃったり、喉が渇いたりするでしょ?」
「それはひとりでも…!」
「本当に?」
「ひゃっ!?」
首筋に舌を這わせ、じゅるりと吸ったライトくんにビクッと反応する。
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