第13章 変態行為が大好きなマゾヒスト(√)
"くっそ、このガキ。末っ子のクセして。あ…!さてはオマエがたこ焼き食いやがったな?"
"頭沸いてんのか?オレがたこ焼きだと?ハッ!笑わせんなよ。"
ガバッとベッドから下り、つかつかと歩いて部屋の電気を付ける。
「うるっさい!眠れない!」
どんなに耳を塞いでも、兄弟達の争う声が部屋の中まで響き、眠ろうとしても騒ぎで眠れなかった。
「(何なの!?アヤトくんのたこ焼きを誰かが食べたの!?その犯人探しでこんなに騒いでるの!?)」
たこ焼きはアヤトくんの好物だ。ヴァンパイアがたこ焼きなんか食べるのはおかしな話だけど、私も何度かアヤトくんに捕まり、調理室で大量のたこ焼きを作らされた経験がある。
「(断ると頬を摘まれるし。どんな暴君なんだか。たこ焼き如きで私の睡眠の邪魔をしないでほしいんだけど。)」
苛立ちから溜め息が洩れた。
「というか、本当にアヤトくん達がヴァンパイアだったなんて…」
「──やっぱり信じられない?ボク達がヴァンパイアだってこと」
「っ……!?ら、ライトくん…!いつの間に!?」
「んふ…さっきからずうっと…ここにいたよ?」
「…勝手に部屋に入らないで」
「ふふふ。お花ちゃん、どうしたの、そんな顔して」
今までの経験からして、私はライトくんを警戒する。彼はそう…執拗に触れてくる。学校だろうと外だろうと、平気で私に触れてくるから、こうして少し距離を取らないとすぐに絡め取られてしまう。
「相変わらずボクが苦手って顔だね。そんなに怯えられると悲しいなぁ」
悲しいと云う割に顔は愉しそうだ。
「ライトくんが…いきなり私の部屋にいて…どんどんと…」
「どんどんと?」
穏やかな声なのに私にはそれが怖く感じる。ゆっくりと近付き、ぐっと距離が縮まる。
「っ…迫って…来るから」
目の前で立ち止まったライトくんは少し身を屈め、私の顔を覗き込み、小さく笑う。
「ふふ。だってね、お花ちゃんの息づかいを…もっと感じたいからね」
「は、離れて…!」
「怯えちゃって可愛いんだから〜♥そんなに怖がらなくてもお花ちゃんを強引にベッドに押し倒してエッチなことしようとか思ってないよ?」
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