第12章 誤解とすれ違いの誕生日(❤︎)
「…おい。指、見せろ」
「え……?」
「いいから貸せ」
手を取るとアヤトくんは薬指から流れる血を舐める。
「ん……」
「アヤトくん…?」
「…オレ様の許可もなく、こんなに血ィ流しやがって。もったいねぇことしてんじゃねぇよ」
「…ごめんね」
「…無茶すんな、このバカ。……ん……。チッ…結構流れてるな……ん……」
いつもみたいに血が欲しいから舐めてるわけじゃないみたい。もしかして心配してくれてるのかな。
「………悪かった。」
チュッと軽いキスが薬指に落ちる。
「!」
「んだよ、驚いた顔しやがって」
「アヤトくんが…謝るなんて」
「オレだって謝る時は謝るっつの…」
罰が悪そうな顔をするアヤトくんに少し笑ってしまう。
「あのね、アヤトくん。私、本当にアヤトくんが好きなんだよ?」
「……………」
「他の誰かじゃダメなの。アヤトくんだけが好きなの。本当だよ…?」
「オマエがオレのこと好きなことくらい、前から知ってるっつーの…。オマエの重てぇ愛はオレ様だけに向けられたものだからな」
「そうだよ。嫉妬深くて独占欲が強いのはアヤトくんの為だよ。だからね…私の、アヤトくんに対するこの想いを…拒絶したりしないで…すごく悲しいよ」
「……悪かったよ。もう二度とオマエの気持ちを疑ったりしねぇ。あの時も、乱暴にして悪かったな。尻、痛かっただろ…」
「大丈夫だよ。びっくりしたけど、あの時のアヤトくん、後悔したような顔だったから…乱暴にされたなんて思ってない」
「……………」
アヤトくんは目を瞑り、手の甲にチュッとキスをする。酷く扱ったからか、申し訳なさそうに、後悔したように、罪悪感でいっぱいって顔をしながら、握る手も、触れるキスも、すごく優しかった。
「…オマエはオレのもんだ。そうだろ?だからオレは…オマエが自分自身を傷つけることも許さねぇ。自分の指に噛みつくなんてもっての他なんだよ。オマエを好きに出来るのはこのアヤト様だけだ」
「アヤトくん…」
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