第12章 誤解とすれ違いの誕生日(❤︎)
「あー……あれならオレ様が処分しておいた」
「処分って…捨てちゃったの!?」
「全部な」
「何で捨てたの!?」
「んなの、面白くねぇからに決まってんだろ」
「なっ…!何その理由!?勝手に人の物捨てるなんて有り得ない!」
「んな、キーキー騒ぐようなことかよ…ったく。たかだか本ぐれぇでよぉ」
「捨てられたら困るの!」
「困る?そうだろうなぁ…ククッ」
「(この悪い笑みは…)」
「オマエを困らせようと思ってやったんだから、当然だろ?困ってもらわないとこっちが楽しくねぇだろ!」
「もう!!アヤトくんの馬鹿!!あの本はまだ読もうと思って捨てずに取っておいたのに…!!」
「ハッ、オマエが悪いんだぜ。メグル」
「何で私が悪いの?」
「近ごろずっと、帰って来るなり本ばっか眺めやがって。……気に食わねぇ。オレ以外のモンに興味持ちやがって……」
不機嫌度が増したアヤトくんは苛立ったように私を見る。
「もっとオレ様に構え!」
「っ……!そ、れは……」
「あ?反論すんのかよ!?」
「は、反論じゃなくて、あの本は…」
「メグル。オマエはオレのもんだろ。……まだわかってねぇのかよ」
「あ……!」
腕を掴まれ、片膝がベッドの上に乗る。
「オマエはオレのもんなんだよ。オレ以外見るな、興味も持つな!」
腰をぐいっと引き寄せられ、アヤトくんとの距離が一気に縮まる。
「薬指の痕…消えかけてんな。んっ……はぁ……んんっ」
「んっ!あ…アヤトくん…っ」
「チュッ…はぁ…は、ん……っ」
「あっ……んん……」
「どうやっても痕が…消えないように…はぁ…んっ!」
「っ……!」
血で繋がれた私たちの結婚指輪。またこんなにくっきりとアヤトくんの噛み痕が刻まれた。
「これだけ深い傷なら、もう…平気だな。ほら、見ろ。証拠だって、オマエの薬指にちゃんと残ってる。ココに…な?……チュ……」
「ひゃっ!」
「オマエは黙って、オレだけを見てりゃいいんだよ」
「ち、ちょっと、アヤトくん待って…!あの本は……」
「あぁ!?」
「っ…………」
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