第11章 ヴァンパイアの花嫁
「そうは思わないけど…。でも天使と魔族が繋がることを良く思わない人達が多いでしょ?」
「まぁ、天使は高貴な存在だから、他の種族と関わることも繋がりを持つ事も許されてねぇな。でもオマエは魔族であるオレと関わって繋がりを持っちまった」
「……………」
「けどオマエが天使だろうがオレがヴァンパイアだろうがそんなのは関係ねぇ。好きになっちまったもん同士が生涯を共にするのは当たり前だろ?」
「!」
「オマエはオレが好きで、オレもオマエが好きだから想いを伝えた。他の誰がなんと言おうとオマエの傍を離れたりしねぇから、そこは安心していいぜ」
「ふふ、アヤトくんの愛は重いなぁ」
「オマエも同じようなもんだろ」
リゴーン、リゴーン…
「あ……」
「ククッ、始まったか。主役のいねぇ結婚式」
「もう…。結婚式って、ちょっと憧れてたんだけどな」
「ココで、ふたりっきりですりゃいーじゃん」
「ふたりっきりの結婚式かぁ」
「左手、出してみろよ」
「え?」
「ほら、ぐずぐずすんな」
「う、うん……」
二人して上体を起こすと、アヤトくんは私の差し出した左手に自分の手を下から添える。
「オマエは今日からオレ様の…ヴァンパイアの長の花嫁だ。一生オレに、オレだけに、血を捧げろよ。……チュ。」
「……っ……」
そう言ってアヤトくんは左手の甲に口付けを落とす。不覚にもその姿にときめいてしまった。
「ほら、返事はどうした?」
「…はい。誓います」
「ククッ、よし。そんじゃあ…誓いの印をくれてやる。……ん……」
「え……!?」
薬指を口に含んだアヤトくんの行動に驚いた。
「……んっ……」
「い、痛っ……!」
「……ん……チュ。ククッ、指輪の代わりだ」
「あ……」
薬指を囲うように噛み跡がくっきり付いていた。それはまるで本物の指輪のように思える。
「消えそうになったら、またつけてやる。何度でも…永遠に消えないように、な。血で繋がれたオレたちには似合いの結婚指輪だろ」
「アヤトくん…」
「オマエさ…イイな」
「え……?」
「花嫁ってヤツは…キレイなモンなんだな」
「っ………!」
.