第9章 それが狂った愛でも
【湖畔の湖】
「珍しいじゃん。オマエが寄り道したいなんてさ」
「ふふ、実はね、今日は流星群が見れる日なんだって!」
「リューセーグンだぁ?」
「そう!いつもじゃ見られない、凄い量の星が流れるんだよ」
「へェ…そんなん見て楽しいのかよ?」
「きっとキレイだよ」
「つっまんね」
「もう、勝手について来たくせに」
「…オレはさ」
「わ……!」
アヤトくんが私に触れる。
「たまには外でヤリてぇっつーお誘いなのかと思ったんだけど?」
「そ、そんなこと思わないでよ!」
「ククッ、いいじゃん。ヤろうぜ?」
「や…やらないよ…」
「ま、仮に人が来てもやめる気ねぇけど?……チュ……」
「やっ、ダメ!」
「ダメじゃねぇだろ?」
「だ、だって今日は星を見に来たんだから!私、すっごく楽しみにしてたの!」
「オレとの時間は楽しくねぇのかよ」
「い、いや…アヤトくんといる時間も楽しいけど…。でも、こんなに流れ星が見れる機会、なかなかないんだよ?」
「チッ、うるせーなぁ。分かったよ」
「(諦めてくれたかな?)」
「オマエが仰向けならいーんだろ?」
「そ、そういう問題じゃない!」
もう!アヤトくんは!
「あ……!」
「あ?……っ……」
「流れた!」
夜空に一つの星が線を描くように流れる。私はアヤトくんを押し退けて、流れ星に釘付けになった。
「アヤトくん!見た?今星流れたよね!?」
「チッ、見てねーよ。んなもん」
「もったいないよ!きっとまたすぐ流れるから見てて!」
「…流れねぇじゃん」
「そんなすぐには無理だよ!」
「ったく、オレ様に見て欲しいならさっさと流れろってんだ」
「またそんなこと言って…。あ、ねえ!もうちょっと向こうに行った方が夜空が良く見えるかも!」
「あ、メグル!……チッ」
いても立ってもいられなくて、私はアヤトくんを置いて先に走って行ってしまう。
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