第8章 素直になれない天使と吸血鬼は

「その代わり。」



「え？」



「金輪際、オレ以外のヤツと口きかねぇって誓え」



「えぇ…っ？」



「そしたら、信じてやる」



「そんなの…無理だよ」



この家の人達とだって、クラスメイトとだって、ずっと口きかないなんて無理…



「無理じゃねぇだろ」



「無理だよ！だって、ずっと他の人と関わらずに生きていけって言うの…!?」



「当然だろ」



「無理だってば！」



「オマエはオレさえいりゃいいんじゃねーのかよ」



「それとこれとは別問題だよ！」



「うるせぇ！オマエは、オレだけ見てりゃいーんだよっ！……っ……」



「あ、ちょ、ちょっと…！」



「んっ…約束できねぇなら、他のヤツんとこ行けねぇように…動けなくするだけだ。……っ……ん。」



「や、やめて…！あ、アヤトくん…っ！」



久しぶりの吸血に私の意識は途切れそうになる。



「……っはぁ。オマエが覚えるまで、何度でもオマエの体に教え込んでやるぜ。オマエはオレのもんだってな」



「(もう…どうしていつもこんな目に…)」



その考えを最後に私は意識を手放した。



「…やっとオチたか。この馬鹿、他のヤツに隙見せてんじゃねっつの」



「……………」



「どうせオレのもんになっても、オマエは他のヤツにも尻尾振るんだろうが…」



アヤトはメグルの頬をむにっと摘む。その切なげな眼差しはどこか寂しげだった。



next…