第7章 純潔を失った天使は
「(アヤトくんの腕の中…体温はあまり感じられないのに…どうしてだろう?安心、する……)」
「オレなしじゃいられなくなってきたんだろ?ククク」
「ち、違……っ」
「……安心しろよ。オマエがどんなに逃げようとしたってぜってぇ手放さねぇからさ」
「……っ……」
「ククッ、しっかし、オマエもバカだよな」
「え……?」
「わざわざ自分から吸われに来たのかよ?……っはぁ……」
「あ……っ」
「オマエが傍にいると…我慢できなくなっちまいそうだったから、離れてやったってのにさ」
アヤトくんに血を吸われると思った途端に身体が硬直した。
「あ、アヤトくん……」
「……ちゅっ。はぁ……っ……チュッ」
「(キスだけ…本当に我慢してくれてるんだ…)」
「メグル……甘噛みしていいか?」
「え?」
「それなら怖くねぇだろ」
私のために……?
「…甘噛みじゃなくても、いいよ」
「あ?」
「吸っても……いいよ」
「メグル……」
「私を怖がらせない為に吸うの我慢してくれたんだよね?…ありがとう、アヤトくん。もう平気だから…私の血、吸ってもいいよ」
「バーカ。」
笑ったアヤトくんは私の首筋や肩にキスを落とす。
「……んっ……」
「平気なわけあるか。まだ震えてるくせによ。今日はコッチを楽しむからいい。……っ……は……」
「ん……!」
こんな…いつも私を振り回してばかりのヴァンパイアに惹かれるなんて───狂ってる。
「(酷い事ばかりする人なのに…それでも完全に嫌いになれないのはきっと…アヤトくんを好きになってしまったからだ。)」
絶対に好きにならないと決めていたはずなのに…気付いたらアヤトくんに惹かれていた。
「(魔族と繋がってしまったことを…神様は許さないだろう。)」
呪いを解くまでは天界には帰れない。たとえ帰れたとしても、魔族に関わった私をみんなは受け入れてくれないはず。
「(だから早く呪いを解かないと。…特別な者から与えられる愛はきっと素敵なものなんだろうな。)」
その愛を与えてくれる『特別な者』がアヤトくんだったらいいのに…と思ってしまった。
next…