第7章 純潔を失った天使は
「そういえば、私に何か用だったの?」
「用があったから来たんだよ」
「何……って、きゃあ……っ!?」
不敵に笑ったアヤトくんが持っていた瓶を私に掛ける。何かベトベトしたものが肌に馴染み、困惑顔でアヤトくんを見た。
「ククッ」
「やっ……!一体何を……!」
ふわりと甘い匂いがした。
「(これってハチミツ!?)」
「今日も血は我慢してやんだ。少しくらい楽しませろよ」
「た、楽しませるって…どうやって…」
「この状況なんだぜ?分かんだろーが」
「あ………!」
「ん……っ、は、む……」
「ひゃっ……!」
腕にかかっているハチミツをアヤトくんは舌で舐めとる。
「甘っ!」
「(あぁ…せっかく花の香りに包まれてたのに…)」
「ククッ、でも悪くねぇな。オマエの蜜味わってるみてぇでさ」
「そ、そういうこと言わないで…!」
「ほら、もっとこっち来いよ。全部キレーに舐め取ってやるぜ?」
「や、い、いいよ!お風呂入り直してシャワーで洗い流すから…!」
「それじゃ折角ぶっかけた意味がねぇだろーが」
「あ……っ、や、触らないで……!」
「こうやって、ぬるぬるさせて触ると気持ちイイだろ?」
「や……っ!」
「ククッ、感じてんのバレバレ。ちゅっ」
「ひゃっ!」
「んっ……チュッ」
「アヤトくん…もう離して…!」
「暴れんな…って!」
「っ!」
いきなり抱き上げたアヤトくんは私を洗面台の上に乗せる。自然とアヤトくんを見下ろす形になり、顔立ちの良さにドキッとした。
「ねぇ…アヤトくん。入ってきた時、どうして驚いた顔したの?」
するとアヤトくんは小さく呟いた。
「………髪。」
「え?」
「オマエいつも三つ編みだろ?なのに今は後ろで結んでるから…それで驚いたんだよ」
「なるほど…」
「つーかいつも同じ髪型にしてんなよ。オレ様が飽きんだろーが」
「私の髪型にケチつけられても…」
「うっせ!」
「(こういうところはホント子供っぽい…)」
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