第1章 、
翌日、予定されていた任務を遂行するべく準備をして車へ乗り込む。確か今日は先輩の呪術師と一緒だった筈、
「実は緊急の案件が入りまして、さんと同行する予定の呪術師もそちらに向かって貰いました。今回は単独任務となりますが、呪霊は推定三級ですので宜しくお願いします。」
補助監督からそう告げられた。正直ひとりの方がやり易いので助かった。空間を支配する際に味方の邪魔をしてしまうからだ。
「はーい、大丈夫でーす」返事をして、現場に到着するまでは眠ることにした。昨日の夜はモヤモヤした気持ちが晴れず、全く眠れなかった。今も気分は優れない。 余計な事を考えないように、と自分に言い聞かせて目を瞑った。
到着すると帳が降ろされる。漆黒の結界と今の自分の気持ちが相俟って、世界がモノクロに見えた。
( 高専に来る前はずっとこんな感じだったな )
無駄な事を考えずに任務へと向かうことにした。向かった先に現れたのは、蜘蛛の形をした呪霊だった。
早速術式を唱え、今いる空間を支配する。まずこの空間内での動きを鈍くさせる。対象は私以外。訓練すると対象を絞ることもできるだろうが、そんな高度なことは出来ない。先輩が居なくて助かった。
動きが制限された敵は、こちらに対して攻撃を仕掛けようとしても外してばかりだった。その間にどんどん攻撃を行い、敵の体力を奪って行く。
もう向こうの体力はあまり残って居ないだろうという所で、敵を残したまま支配空間から離れる。
敵は体力の消耗と空間の効果から、動けないで居るようだ。私は左手を前に出し、力を込める。支配する空間を狭め、敵のみが入るだけのサイズにする。そして、
「花火」
そう唱えると、その空間が音を立てて光った。そして敵の身体はまるで花火のように砕け散った。私は自分でも「バーン」と効果音を言って、砕ける様子を笑って見ていた。無事に蜘蛛の形をした呪霊は祓うことができたようだ。
空間支配の術式を解き、元の場所へ戻るが、モノクロの世界は色付かない。まだ帳は降りたままだ。