第1章 、
家は呪術を生業としている家門だ。呪術界御三家といえば、禅院・五条・加茂だが、家もそこに劣らぬ長い歴史がある。
勢力を高め呪術界での権力を手に入れようとした先代は「質で勝てないなら数だ」と子供を沢山産んだ。その影響からか、今でも子沢山の一族である。
家には、相伝の特異能力を持つ者がいる。それは自傷強化。受けたダメージの分だけ呪力の効果が高まるというものだ。反転術式と掛け合わせることで、さらに自分を強化することが出来る。
近年、自傷強化と反転術式の両方を使える者が減る中で、は久しぶりにその能力に恵まれた子供だった。
親類からはとても可愛がられ、何重もの箱に入れられて育てられた。小学校にも中学校にも通うことが許されず、の為に用意された家庭教師から学びを得た。
恐らく16歳になると、親に用意された相手と結婚し子供を作らされる予定だったであろうが、決められた人生に嫌気が差し、呪術の勉強をしてくるという理由のもと、全寮制の呪術高専に逃げて来た。
ただ、私は呪術師になるつもりもなければ、家の為に子供を産むこともしたくない。好きな人と結婚して、ただ幸せに過ごしたい。それも叶わないのだろう、と思いながら呪術高専で過ごす5年間を精一杯楽しむことを決めている。
「お〜い、聞いてる?」
硝子は、私にずっと話しかけて来ていたようだった。「疲れてるんじゃない?ちゃんと休まなきゃ駄目だよ〜っ」と心配してくれる。今日は早めに部屋に帰った。
テレビを見ている所に「おっ邪魔〜」と言いながら上機嫌の悟がやってきた。
いつものように私のベッドを占領して、テレビを眺めている。「自分の部屋でテレビみてきなよ」と言ってみるが、それは違うらしい。よく解らない。
「明日、何すんの?」
明日は土曜日で学校は休み。任務も入って居ないので、特に予定は無かった。
「んー、多分ずっと寝てるかな。」じゃあ俺に付き合ってよ、と半強制的に出かける事が決まった。買いたい物があるらしく、ショッピングモールに行くそうだ。
約束を取り付けるや否や、悟はすぐに自分の部屋に戻って行った。悟と二人で出かける事なんて中々無いな、と思いつつ明日になるのを楽しみに眠った。