第1章 ※恵風和暢 【不死川実弥】1
実弥は自分の屋敷に帰ったが、ほとんど一睡もできないまま朝が来て、昼が来ようとしていた。ずっと居間に寝転がって天井を見てる。昨日の隊服から着替えもせずに。
「何であんなことしちまったんだァ、俺。」
「本当、何であんなことしたの?実弥。」
ばっと起き上がると、庭にあやがいた。隊服ではなく、可愛い袴姿だった。
「・・あやサン。勝手に入って来んなよ。」
「何度も声、掛けた。」
あやは、縁側に草履を脱ぎ、「お邪魔します。」と家に上がった。
「あやサン・・・あんたバカか?」
「あなたの方がバカよ、実弥。」
あやは実弥の前に座って、実弥の目をじっと見て答える。
実弥は「チッ」と舌打ちして目を逸らそうとするが、いつものように頬を両手で挟まれ、あやの方に顔を向けられる。
「実弥。昨日の続き、しよ。」
「はァ?」
あやの灰色の目が実弥の目を捕らえる。あやの力など実弥が本当に嫌なら振り払うことができるが、そうはしなかった。
「まずは、昨日の口づけをやり直そう。」
実弥の目を見て、にこっと笑う。
あやは、頬を両手で挟んだまま、ちゅっと実弥に口づけをする。ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、と角度を変えて口づけを続ける。
実弥は最初は何もせずにあやをじっと見ていたが、がばっとあやを押し倒し、あやの口に舌を入れる。
「んッ、んッ、んッ・・・ん。あっ。」
舌の動くクチュ、クチュという音が響く。
昨日のような歯が当たりそうな程乱暴なものではなかったが、舌を伸ばして上顎、歯茎、舌の付け根と激しく攻めていく。
ぱっと口を離すとあやも実弥も頬が上気していた。
「あやサン、俺に昨日、口吸われて興奮したのかよ?」
実弥が挑発する様に言う。
「うん。そうね。さ、次はどうする?」
「・・・あやサン。もうどうなっても知らねぇからな。」
実弥はあやの袴のひもを乱暴にほどき、着物の前を開いていく。