第7章 ※赴湯蹈火 【煉獄杏寿郎】2
その夜の床の中で天元に跨り、指と視線を絡ませながら私はゆっくりと腰を振り、甘い吐息を吐く。満足そうに口角を片方だけ上げて笑う綺麗な顔を見る。ふいに疾うの昔に捨てた筈の自分の心が痛み、涙が出た。
「どうした?いろ葉が涙なんざ珍しいな。」
「・・・天元様が善すぎて。」と誤魔化す。ゆっくり瞬きした後、少し激しく腰を動かしながら、目を細めて天を仰ぐ。
「・・・へぇ、・・もっと啼かせてやろうじゃねぇか。」
天元もあやの腰を持ち、動きに合わせて腰を突き上げる。
突き上げられるたびに自分の口から「あっあっ」と喘ぎ声が漏れるのを聞きながら、なかなか頭から離れない幼馴染みを恨めしく思った。
次の日
あの後、興が乗った天元が明るくなるまで離してくれなかったことと、目を閉じると浮かんでくる幼馴染のお陰で、支度の時間になってもあやの体は重かった。
だらりだらりと支度を整えていると遣り手が嬉しそうな顔であやの所へ来た。
なんでも、またあやと馴染みになりたいというお金持ちの客が来たというのだ。はーいと適当に返事をし、今日が初会だから気合を入れて準備しろ、どんな客でもお金持ちだから選り好みするな。というのをうんざりしながら聞いた。