第4章 燎原之火 【煉獄杏寿郎】2
「・・・キスとか?は難しいでしょうか?」
「なるほど。紫天城。俺がその恋人ならそれ位の可愛いお願いなら叶えてやりたいと思うだろうな。」
そう言うと、煉獄先生は私の方に身を乗り出して、目の前10㎝位まで来てにこっと笑った。先生が大きな瞳を閉じたから私もつられて閉じると、ちゅっと口に先生の唇が当たった。
口が離れたから、そーっと目を開けると、先生と目が合って、もう一回ちゅっとキスをしてくれた。
甘夏の香りのキス。
でもその後、
「・・紫天城。煉獄先生はこれ以上の恋愛相談には申し訳ないが乗れないからな。」
煉獄先生は少し困った顔で言った。
「はい。わかりました。キスしてくれてありがとう、せんせい。」
ごめんね。我儘言っちゃって。でも新しいトクベツは恋人同士っぽくてすっごく幸せ。
次から、「お茶を飲みませんか?」って言うのが、キスしたい日の合言葉になった。
一回だけ、ちょっと好奇心で、放課後の教室に先生と二人っきりになった時に、「お茶…飲みませんか?」と聞いた。
先生は少し考えて、「困った子だ。一回だけだぞ」ってキスしてくれた。
でも、本当に困らせちゃったから反省した。もうしない。
秋には「いしやきいも」の香りの紅茶があったから、勿論買って、先生と飲んだ。
スイートポテトも作ったら喜んでくれた。その頃はもうゆっくりキスって感じじゃなくて、勉強を教えてもらうことが多くなった。
いつも、先生が帰るときにはキスをしてくれた。
クリスマスは、1回だけイルミネーションを見に行った。外でのデートは初めてだった。
ジンジャーブレッドラテを2人で飲んでいたら、先生が、手触りがすっごく良い大きなストールをくれた。「風邪引くんじゃないぞ。」って。
お正月は勉強するようにって、何も無し。合格祈願のお守りだけ買って届けてくれた。先生大好き。
1月2月はもう勉強しかしていない。先生が飲み物とか軽食とか買ってきてくれて、ずっと勉強を教えてくれた。
いつも帰りにはハグとキス。
先生も仕事が忙しそうだったけど、来られる日は疲れてても必ず来てくれた。
2月の終わり。
私の第一志望の、先生が行ってた大学に合格できた。合格の通知は先生と一緒に開いた。
先生が自分の事みたいに喜んでくれたのが嬉しかった。
そして とうとう3月。あぁ。終わりにしたくないなぁ。