第19章 炎虎 【煉獄杏寿郎】2
次の日、あやは濃紺のスーツに、髪を後ろに一つに結わえ、青のカラコンに眼鏡の姿で警備会社へ出勤した。入り口には「警察官立ち寄り所」という看板が付いている。
警備会社の中の一番奥の部屋が、今回の任務の事務所になっていた。上官の後藤と、もう一人の潜入任務の同僚が主にその場所を使っている。
クラブに努める時に出した履歴書にも此処を勤務先と書いてある。警備会社に勤めるOLだ。
あやは後藤から、煉獄に初めて会った日にあやの事を調べた人がいると聞いた。クラブの履歴書に書いたあやの名前「紫天城あや」を検索すると連絡が来るように設定してあるらしい。
これは本当の名字ではない。
・・・おそらく調べたのは煉獄だ。この名前で検索して出て来た情報は8割本当だが、残りはあやを守るための架空の情報だ。
それ以降は調べていない様なので、とりあえずは信用されているようだ。
この事務所では、事務処理や任務の進捗の報告、本署との連絡を行っている。時々後藤が来るのでそこで情報のやり取りもする。
警備会社の持っているあちこちの防犯カメラの画像を見せてもらったり、ヤクザの家の警備の様子を聞いたりもする。
意外とヤクザは警備会社と契約をして自宅の防犯対策をしているのだ。盗まれたら困るものが多いからだろうか。
昨日の煉獄の部下が死んでいた場所の近くの防犯カメラの映像を見せてもらう。
そのチンピラを含む3人でカメラの前を通った。
三十分後には違うカメラにチンピラ以外の2人が映っていた。画像が荒くて一緒にいた二人の素性は分からなかった。
・・・カメラの位置も把握していたかもしれない。
・・・何者かにクスリを過剰に摂取させられて殺された?