第17章 ※天馬行空 【宇髄天元】 3 完
約4か月後
私は目覚ましが鳴るよりも早く、教会の鐘が鳴り響く音で目が覚めた。教会が時刻を知らせる為にそれぞれのタイミングで鳴らす鐘は結構うるさい。
時間を見ようとスマホに手を伸ばす。6時少し前。何でいつも時間よりも前に鐘が鳴ってんの?適当すぎない?と思いながら、スマホをよく見る。メッセージの通知があったのでぼーっとしながら開く。
空港らしき所でチケットを持って笑う宇髄君の画像。
『ローマの空港に12時過ぎに着く。バチカンのピエタの前で待ってて』
私は慌てて跳び起きる。
ここはイタリアのフィレンツェ。
ローマの中心部の駅テルミニまでは速い列車でもここから一時間半はかかる。さらに、ピエタのあるバチカンは多分慣れていないと一人では行けない。・・・ならローマの空港まで迎えに行かなければ。
ローマのテルミニ駅からローマの空港までが早くて30分強。イタリアの電車は遅れることも多い。
日本で例えたら、私は名古屋に住んでいて、宇髄君は初めて言葉も分からない日本に来るのに、指定してきた待ち合わせ場所が東京タワーって感じ?
・・・何時の電車があるか調べると、あと三時間くらいで出発しないといけなくなった。
急いでシャワーを浴びて、部屋をざっと片付ける。出かける用意をしてフィレンツェのSMN駅に向かう。途中バールで簡単に朝食を摂る。だんだんこの辺から頭がはっきりしてきた。
・・・今日は平日。宇髄君学校は?
何しに来るの?ホントに来るの?イタリアだよ?
ローマに向かうユーロスターの中で宇髄君の画像を拡大して持っているチケットを何度も見た。チケットの日付は今日で、メッセージの通り12時15分 ローマ フィウミチーノ空港着。直行便で来てる。
あ、やばい。メイクしたのに涙が出て来た。
向かいに座っているご婦人が「大丈夫?」と心配して声を掛けてきた。「大切な人にもうすぐ会えるかもしれないんです。」って答えたら飴をくれた。