第14章 ※炎炎 【煉獄杏寿郎】4 完
受付をして、指定された座席を探す。
名簿の名前を見て、なんとなくどこの席かは分かっていた。
目立つ金髪が私の隣の席に座っている。金髪の人は受付で貰った市のパンフレットを良い姿勢で見ていた。所々朱の入った独特の金の髪。少し癖のある、柔らかい手触りの…。
式の開始まで15分。まず何を聞こうか。
すうっと息を吸ってから、左隣の席に座りながら話しかける。
「…中学の免許もお持ちなんですね。煉獄先生。」
くるりと赤い瞳が此方を見る。
「あぁ!中、高の社会を持っている!」
「随分遠くに異動になりましたね。不倫がバレましたか?」
「あぁ、前の学校は辞めた。君とのことを思い出して辛くなった。不倫も・・バレてたかもな。」
「・・元気そうで何よりだ。」
「・・・あや、ちょっと聞きたい。とりあえず君との会話で、故郷の県は知っていた。君の生まれ育った所を見に行きたいと思ってこの県の採用試験を受けたんだが・・さっきふと冷静になってな。」
「・・もしかして俺は君にとってストーカー化した元彼になっていないか?君が嫌ならこの街で働くのは辞める。」
「ふふふ。杏寿郎、それ試験受ける前に考える事じゃないの?あなたらしいけど。嫌じゃないよ。会えて嬉しい。…泣きそう。」
「君が泣くと俺も泣いてしまうから耐えてくれ。」
「あ・・・」
私は杏寿郎の左の薬指に指先でトンと触れる。
指輪は無い。
杏寿郎は私を見て頭を下げた。
「離婚した。すまん。」
「嫌だって言ったのに。」
「仕方ないだろう、愛したのは君だけなんだ。」
「・・・」
「あや・・泣くな。」
杏寿郎は慌ててハンカチを出して私の涙を拭いてくれた。
「・・・今のは杏寿郎が悪いよ。」
杏寿郎は ぱっ と私の大好きな全開の笑顔になって言う。
「あや、会えて嬉しい。存外すぐに会えたな。君とはやっぱり縁があるんじゃないか?あや、俺との出会いからまた始めてくれないか?」
「・・・だから!もー・・涙出るし・・みんな見てるから!」
「では、続きは今日の勤務終了後だ。連絡したい。連絡先を聞いていいか?・・・あや、泣くな。」
「・・・杏寿郎。今日から同じ学校だよ?ふふふ。あなたも泣かないで。」
「・・・君のせいだぞ。」
🔥炎炎🔥 完