第14章 ※炎炎 【煉獄杏寿郎】4 完
午前中は少しだけ部活があるので、家に戻るとシャワーを浴びて部活の用意をして出かけた。
剣道場の前に・・・・・あやがいた。
防具を持って。
「おはようございます!煉獄先生!」
「あぁ・・おはよう。あや、どうした?」
「明日大会だから最後に激励に来ました。」
「そうか・・・ありがとう。」
あやは、今日までの予定だったか?
あやは、・・・笑っているが、なんだか元気が無い。
・・・あやも俺に会いたかった?
次の日の大会に備えて、昼前には部活が終わった。
生徒が帰った後、いつもの様に一緒に小窓を施錠して回った。教官室の前で俺たちは向かい合う。
両手の指先だけ絡めて顔を見合わせる。
教官室に入る?入らない?今日は時間制限が無いから触れ合うとそのまま・・・いや、さすがにそれはまずいだろう・・・。
少し見つめ合うと、あやは視線を斜め下に下げ、下唇を噛んだ。
あやは何かを考えていたが、ゆっくり視線を俺の方へ戻し、微笑んで言う。
「ねぇ。杏寿郎。これから私のアパート来る?」
一瞬俺の呼吸が止まった。
・・・いいのか?
・・・よくないだろう、それは。
・・・何でダメ?
・・・もう今更じゃないか。
・・・戻れなくなる。大好きなんだから。
・・・触れ合いたいに決まってる。今日が最後だぞ。
・・・俺はまた我慢ばかりするのか?
・・・いやいや、でもそれは勝手過ぎるだろう。
・・・・。
俺は少し目を閉じて開く。
ふうっと息を吐いた。覚悟を決める様に。
もうあまり残っていなかった罪悪感はあっさり消えた。
成程、罪悪感というのは少しずつ無くなっていくものなのか。
もう色んな事がどうだっていい。
「あや、・・・それは、・・・そいういう意味でとっていいのか?」
「うん。そう。最後だから、したいと思って。」
「・・・ちょっとひどくするかもしれんぞ。」
「ふふふ。前も・・・杏寿郎、時々そうなってたよね?」
「あや、誤解があるぞ。勝手にそうなるんじゃない。大体いつも君のせいでそうなる。」
「・・・・車で行くか?電車か?」
「車、停めるとこあるよ。」