第12章 ※炎炎 【煉獄杏寿郎】2
寿美はセックスには奥手だ。電気を暗くして、たくさんキスをして、優しく愛撫した後に正常位で入れる。優しい声もたくさんかける。
時々、他の体位も挑戦するが、恥ずかしそうにする。それはそれで可愛かったんだが・・・。
俺は手早くゴムを開けると自分に被せ、立ったまま少し不安そうな顔をしている寿美の片足を腕に抱え、そっと入り口に当てる。「力をぬいて。」と耳元で声を掛けて奥へと進む。
いつもの寿美の中の感触で、いつもの様に気持ちがいい・・・んだが、物足りない。
あまり時間をかけると寿美が辛そうなので、仕方なく、今日のあやとキスをしている時の事を思い浮かべる。寿美の口に舌を入れながらあやの善い所を責めていく。
あやの名前だけは絶対に呼ばない様に気を付けながら腰を振る。
「あっ・・あっ・・。ん・・。」と寿美も嬌声を上げて首筋にしがみついてくるからそれなりには感じているんだろう。
・・・そして、あやが可愛く微笑んだ顔と、キスの時の惚けた顔を思い浮かべながら昇り詰めた。
・・・・駄目だ。これは辛い。一瞬泣きそうになった。
「寿美。付き合わせて悪かった。久しぶりで気持ち良すぎた。」
と、また心にもないことを言う。
「ううん。杏寿郎さんが気持ちよかったなら良い。」
脱衣所で丁寧に寿美の体や髪を拭いてやる。また触れるだけのキスをして抱きしめる。俺はいつもの様にできていただろうか。
寿美も抱きしめ返して言う。
「杏寿郎さん。ちゃんとシャンプーして体を洗って出てきていいよ。わたし夕食の仕上げをしちゃうね。」
「あぁ。ありがとう。」
俺は少し熱めのシャワーを頭から浴びながら、世の中の不倫男性たちはどうやって気持ちに折り合いを付けているのか考えていた。凄い罪悪感だ。
・・俺はその罪悪感を誰に抱いているのだろう?寿美に?あやに?俺自身に?
・・・全てにだな。
シャワーから出ると、夕食を食べてまた早めにベッドに入る。今日はすぐに眠りに落ちてしまった。