第8章 living for love 【七海建人】前編
「今日はもう遅いので、送りましょう」
七海さんがサッと席を立った。
「え、まだ……」
デザートが来てない、、、そう言いかけたら
「行きましょう」
七海さんが虎杖君の前をすり抜けて通路に出たので、私も焦って立ち上がり、五条さんの前を通ろうとしたんだけど
五条さん、足が長過ぎて通れない……
「足を横にするか、立って下さい。触れるとまた痛い思いをするのは、彼女です」
「はいはい」
そう言って、五条さんはさっと立ち上がり
「じゃあ、またね。ちゃん」
と言って、胸の辺りでハイタッチのポーズをしてきたから
「あ、はい」思わずその手を軽く叩いてーーーー
バチィィィ
「ーーーーーっ」
「貴女も学習しませんね。行きますよ」
そ、そうだった。何故か五条さんと虎杖君に触れると静電気が走るんだった。
「さん!またね!」
元気に手を振る虎杖君には、
また、なんてあるのかな???
と思ったけど、手を振って返した。
店を出た瞬間「あ!お会計!」と呟いた私に
「大丈夫ですよ。あの人が払います」
「五条さん?」
「ええ。この中で、あの人が一番先輩ですからね。いいんですよ」
「そうなんですね。いいのかな、私まで」
「もちろんです。せっかくのディナー、邪魔されましたしね」
せっかく……
「ふふ、そうですね。あ!私、デザート頼んでたんですよ」
「あの人が食べますよ」
「甘党でしたよね、確か」
「えぇ。なので問題ありません。私達は別の店に行きましょう」
「え?」