第5章 Femme fatale 【五条悟】中編
「 信用は出来る人ですよ」
信用、は?
「尊敬はしていませんが」
あーそう言う意味ね。
「あまりこの人をお勧めしたくはありませんが……貴女なら案外大丈夫かも知れませんね」
お猪口に口を付けながら薄く笑う七海さんに、思わず男の色気を感じてドキッとした瞬間
バチィイイイイ
「い、いたぁぁーーーーいっ!!!」
「他の男にドキッとしちゃダメだなぁ。僕がいるんだからさー」
五条さんに両頬を挟まれている!?
「お触り禁止って言いましたよね!?で、何で痛いの私だけなんですかっ!?」
「えーっだって僕、痛いの嫌だしー」
うわ、めっちゃ憐れ目で七海さんに見られてるし……
「さん」
「は、はい?」
七海さんに呼ばれた。
「きっともう貴女に選択権はないでしょう。この人に狙われたら」
「はは……」
「ですので、1つだけアドバイスを」
「 えっ!何!?七海!?何言う気!?」
少しだけ焦る五条さんが、なんとなく可愛い……なんて感じる時点で私の頭は混乱しまくっていたんだろうな。
「言質を取って下さい」
「げん、ち?」
「はい」
それだけを言って、またお酒を呑む七海さん。
すると伊地知さんが、他者間との縛りを作るためで、とかなんとか、かんとか……
いや、もう。ほんっと、頭がついて行かない。
おまけに、頬はピリピリ痛む。
それでも、目隠しは外さないけど柔らかい雰囲気になった五条さん。
あぁ、きっと五条さんも虎杖君達も皆、お互いの事を信頼しあって大切にしているんだろうなぁ
なんて思った私は、いつの間にか すっかり五条さんにほだされていたみたい。