第4章 日常
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さらに数日後・・・の夕方
今度は再び食事中の学園長を襲撃するつもりだった。
しかし今度は食事に毒を盛るのではなく、食堂近くの木の上から毒針を吹き矢のように使いながら暗殺を謀ろうとした。
そして幸いなことに今日は6年生は野外実習・教師陣の大半が出張に出ているため5年生しかいない・・・きっと監視をしているのは5年生が中心だと踏んで堂々と暗殺に望んでいる。
「…フゥ・・・フッ!!!」
学園長が食堂に現れ窓側に座ったことを見計らって竹筒で毒針を飛ばす。針は窓側に座る学園長に向かって真っすぐ飛んでいった。
パシッ!!
という小さな音を上げたと思ったら・・・
『はぁ!?今…何が飛んできた?』
「あぁーー!!僕の高野豆腐…勘右衛門!!なんで僕の高野豆腐投げるんだよ!!」
「いや…悪い…いい感じに投げれる物がなくて…」
「尾浜く~…ん?食べ物を粗末にするなんて…許しまへんでーーーー!!!!」
と、今日の夕食のメニューが高野豆腐で針が飛んできたのを見つけてしまった尾浜勘右衛門がとっさに皿に盛られた高野豆腐を投げてしまったのだ。当然夕食を粗末にしたため食堂のおばちゃんから大目玉を食らっていた。
しかし、それによってこぼれる寸前の高野豆腐に針が刺さり減速し、学園長に当たる前に窓の外に落ちてしまった。
『チッ…』
「おし、今日の暗殺も失敗だな。」
『分かってますよ…。やっぱり5年生も…うぁああ!!』
と、自身を見張っていたであろう5年生が彼の背後で話しかけた。彼はそんな彼らに応待すべく背後の5年生を見るが・・・背後にいた不破雷蔵と蜂谷三郎に驚いて彼は木から落ちてしまった。
「由利…お前いい加減私と雷蔵の変装に慣れろ…」
『すみません…同じ顔の人ってあまり見ないもので…揃ってるところを見るとびっくりしまして…』
・・・これで、彼女の暗殺失敗の記録が30回を超えてしまったのだ。彼は木から落ちた後、再びチッ…と舌打ちをした。