第4章 日常
次の日、彼女・・・いや彼はタカ丸よりも早く起きて準備をした。晒を巻いているとはいえ着替えを見られるのはまずいから・・・
「うーん…!あれ?おはよう若月。早いね」
『あ、タカ丸さんおはようございます。』
「うん。あぁ、髪結ってあげるね。」
『すみません。』
着替えが終わって鏡の前に座っていると、のそのそとタカ丸が起きてきた。鏡の前に座っている彼を見てタカ丸はそのまま櫛をもってきて彼の髪を梳かし始めた。
「…ホントに、若月の髪はふわふわで綺麗だね。これ、もう少し短くするともっと…」
『…ッ!!切らないで!!』
彼は、思わず櫛を持っているタカ丸の手を払ってしまった。
2人の部屋に櫛が落ちる音だけが響いた。
「えっ…あ、ごめ…」
『あっ!いや、すみません…。この髪、家訓で切れないんです。』
「そうだったんだ…。俺もごめんね、知らないでそんなこと言っちゃって…」
『…タカ丸さん。授業遅れちゃいます。髪、お願いします』
「…うん!よーし!!」
と、彼がまた雰囲気を戻してタカ丸は快く髪を梳かし始めた。
彼はニコニコと彼の櫛を待ちながら心の中で後悔していた。
昨日の今日でいきなり感情を出し過ぎてしまったことに・・・