第2章 決行
「えっ…女!?」
「何か違和感を感じると思ったが、まさか殺気よりも基本的な部分にあったか…」
「ん?女?誰が?」
「…やはり」
学園長の言葉に納得する者・すぐには理解できない者・気づかなかったことに対して落胆するものと様々だった。
『…なぜそう思う』
「由利…この名字でピンと来ておった。お主は花街を塒に大名や領主の暗殺業を買っている暗殺の一族、《由利の一族》の者じゃな。」
「由利…たしか、女児しか生まれない不思議な一族で花売りをしながら忍術と暗殺業を担っていた一族だと…」
「なるほど、女児しか生まれないから忍術学園には男に化けて潜入して暗殺を謀ったと…」
「汚いやり方だな」
『それが一族の本分だ。』
ずっと揉めていた潮江文次郎と食満留三郎が彼を見下ろしながら吐き捨てる。彼もまたそんな彼らに冷たくそっぽを向きながら答える。
「うーむ…」
「学園長、いかがいたしましょうか。」
なにやら彼の顔を見ながら何かを考え始めた学園長。
みんな何かしらの処分があると思い学園長の意向を待つが・・・
なぜか学園長の後ろにいる教師陣は少し不安そうな顔をしていた。
「…よし決めた!!」
と、突然なにか思い付いたように顔を上げた。
そして彼を指さして言う。
「由利若月。お前の学園残留を認める!!!」