第15章 執念
「いや~今日もお手伝いいただきありがとうございます!」
「別に礼を言われることはない。」
「私たちは暇を持て余していただけだからな!!」
「…モソ」
「若月先輩も、今日も女装ありがとうございます!」
『いいよいいよ!』
この日もまた鍛錬組と彼はキリ丸のアルバイトのため、忍術学園の入り口に集合していた。
今日も今日とてキリ丸と彼は女装をしている状態だった。
「でキリ丸、今日はどんなバイトなんだ?」
「はい、今日は花街付近で簪売りのバイトです」
『えっ…』
花街と聞いて、彼の顔色が一気に曇った。
彼だけでなく6年の3人も少し不穏な雰囲気を感じ取っていた。でも、1年生のキリ丸には悟られまいと彼はすぐに笑顔を作って行こうか!とキリ丸に言う。
「由利。」
『えっ…はい?』
「何かあったらすぐに言えよ」
「私たちは、お前の味方だからな!!」
「…モソ」
6年生はそんな彼に気を遣ってか、キリ丸にバレないように彼に声をかける。彼は、3人からそんなことを言われるとは思ってなかったようで目を見開いたが、彼にはすごくありがたい言葉だったためすぐにいつものようなキラキラした笑顔に戻った
『…ありがとうございます!』
「おぅ。」
「よぉし!!いけいけで行くぞーーー!!」
と、七松が猛ダッシュでキリ丸と彼の腕を掴んでダッシュし始めた。キリ丸が「七松先輩!!着物が汚れますーー!!」という言葉は完全に無視されていた。