第14章 日常.3
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「いや~面白かったな!」
と、数日の観察を終えた5年生達は再び5年い組の2人の部屋に集まっていた。5年生達は本来の目的である久々知のための調査だということは・・・忘れていた
「じゃあ、調査の結果…。作法委員会の2人と食満先輩は、ガチ恋…と。兵助、どうするんだ?かなりの強敵だぞ?」
「いや、知らなきゃよかったと実感しているよ。」
「まぁ、落ち込むなよ。今日だけはお前の気の済むまで豆腐料理食べてやるからな。」
「うん…。やっぱり若月はモテるんだよな…」
現実を知った久々知はかなりショックを受けてしまっているようで、ひどく落ち込んでいた。他の4人はそれを面白がりながら慰める。
「大丈夫だって、敵は立花先輩と食満先輩位だ。あとの奴らは興味なさそうだっただろ?」
「そうだよ、七松先輩とか潮江先輩がいなけりゃ何とかなるって」
「…誰が居なければ何とかなるって?」
「いやだから…え?」
と、5年生達の会話に違う声が混ざってきた。
その声に覚えがある5年生達は一気に背筋が凍るような感覚に襲われた。
5年生達が、ゆっくりと後ろを向くと・・・
そこにはさっきまでいなかった6年生達が、全員揃っていた。
「あ…先輩方…」
「ど…どうしたんですか…?」
怯える5年生達をよそに、6年生達は恐ろしいほどの笑顔を浮かべていた。
「いや、先日から何やら視線を感じていてね。ねぇ仙蔵」
「あぁ。5年生が何か企んでいるのではないかと思って居たが…」
「お前達!!どうやら私達に喧嘩を売りたいようだな!!!」
「買ってやるよ、その喧嘩…」
「俺や小平太が居なければ、何だってぇ?」
「…アハ、アハハハハ!!!」
***
『ん?今…何か聞こえた?』
「ん~?気のせいでしょ。」
「うぉ!?喜八郎!!長屋の前で寝るな!若月も甘やかすな!!」
「えぇ~、別に君の部屋の前じゃないからいいでしょ三木ヱ門。」
「邪魔なんだよお前達は!!」
・・・この後
裏裏裏山から5年生達の叫びと悲鳴が聞こえてきたというのは、言うまでもない話だった。