第13章 思想
「…アルバイト?」
「はい!是非とも先輩達にまたお手伝いをお願いしたく!」
休みの日の前、図書室にいた図書委員の中在家長治に同じく図書委員のキリ丸がアルバイトの依頼をしていた。
今度のアルバイトは、ドクタケ領の辺りにある団小屋で店番と団子づくりのバイトのようだった。
だから人手が多い方がバイトになるとキリ丸は中在家に伝えた。
「…分かった。」
「ホントですか!?ありがとうございます!!」
「…そのバイト、文次郎と小平太にも頼むのか?」
「はい!そのつもりです!あ、あと若月先輩にも頼みます!」
とニカっと笑いながら由利の名を出したキリ丸に中在家は少し口角が上がりそうになったが、それをグッとこらえてキリ丸に「分かった。」と言った。
「じゃあ明日の朝、校門でお待ちしてますね!!!」
と言って、図書室を出て行った。
中在家は複雑だった。
いくら可愛い後輩のお願いとはいえ、敵である彼と一緒にアルバイトをするということに…
だがこれも鍛錬の内・・・精神修業に良いかも・・・
だが・・・
「へへ…へへへ」
「な…中在家図書委員長…どうしたんですか…?」
と、考えながら本の整理をしていた中在家は思わず感情が入り混じって口元が緩み笑いが出てしまっていたため、図書委員のもう1人の1年生、二ノ坪怪士丸に心配されてしまった。