第4章 突然の訪問者
マッスルレディ所長には出勤してすぐに
契約延長はしない、と伝えた。
もともと1年契約で終了の予定だったが
次が決まるまでのんびりしなさいよ。という
所長のお言葉に甘えていた。
「契約期限まで、バリバリ働いてもらうわよん♪」
所長のウインクを軽くいなし、
もちろんです!と返事をする。
「それじゃ、パトロール行ってきま~す!」
「お願いね、クラウディア~」
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パトロールは好きだ。
雲で浮遊しながら街中を見下ろす。
ビルの横を通れば
窓の向こうでお仕事中の方々が手を振ってくれる。
それに笑顔で振り返し、少し高度を下げる。
お散歩している幼稚園児たちがこちらを指さす
上に気を取られ転びかけた子を雲で受け止める。
前をしっかり見て歩こうね~!と声をかけ
再び高度を上げる。
一通りぐるぐるを街を回ってから
とあるビルの屋上に降り立つ。
見覚えのある赤くて猛々しい翼が見えたからだ。
「や、霞さん」
「ホークス!会えてよかった!」
「ん?なんか用事でした?」
「実はね、雄英に赴任することに決まったの。」
「あ、俺が向いてるって言ったの
本気にしちゃったんですか?」
「相変わらず、可愛くなーい!」
「ハハハ、じゃあ福岡離れるんスね。
寂しくなるなぁ〜。」
「お世話になりました。
ホークスのおかげで美味しいお店たくさん知れて嬉しかった!」
「またこっち来たら飲み行きましょうね〜
あ、俺がそっち行ってもいいな。」
ひとっ飛びしますよ!と翼をバサッと広げた。
「ありがとう!
美味しいお店探しておくよ!
優秀な生徒も紹介するから、その時はよろしくね。」
ホークスにはお礼を言えたし、
パトロールの合間をぬってこっちでお世話になった人たちに挨拶周りしないとな。