第36章 合同戦闘訓練
午前中の授業を終えて
午後はついにA組B組合同の戦闘訓練。
そして本人には伝えていないが
心操くんのヒーロー科への編入試験も兼ねている。
心操くんの頑張りを近くで見てきた一人として、私としてはかなり力が入ってしまいそうな授業になりそうだ。
今回の訓練が行われるのは運動場γの一角。
心操くんはここで移動訓練をすることが多かったし、地の利の面でヒーロー科と差が出て不利にならないよう、消太くんが配慮してこの場所にしたのだろう。
ブラド先生と消太くんと私、
そして特別参加者扱いの心操くんが
運動場γの集合場所に到着すると
すでにヒーロー科の生徒たちは集まっていた。
「さァ、A組!!
今日こそシロクロつけようかァ!?」
おなじみ物間くんの声が響く。
またA組に突っ掛かっているようだった。
調子に乗ってハイテンションになっている物間くんを拳藤さんが手刀で止めるより早く、消太くんが捕縛布で黙らせた。
「ヒーロー科っていつもこうなんですか?」
「……まぁ、お互いに高め合う精神ってことよ。多分。」
心操くんが呆れ顔でこっそりと私に聞いてきたが、私は苦笑いを返すしかなかった。
「今回、特別参加者がいます。」
「しょうもない姿はあまり見せないでくれ。」
生徒たちがザワザワとする中、
心操くんが紹介され、ヒーロー科の生徒は驚いていた。
「一言挨拶を。」
消太くんに促されると心操くんが話し出した。
「俺はもう何十歩も出遅れている……
悪いけど必死です。
立派なヒーローになって俺の個性を人の為に使いたい。
この場の皆が超えるべき壁です。
馴れ合うつもりは、ありません。」
パチパチと送られる拍手。
生徒たちの反応は様々だった。
心操くんももう少し愛想良くすればいいのに。
ヒーロー科に転科してからの事を考えているのか、心配になってしまう。
まぁ、ヒーロー科の子たちはA組もB組も良い子ばっかりだから問題ないか。
きっと今日の訓練ですぐに馴染めるだろう。