第33章 あなたのヒーローに
「でも山田に言われたんだ。
霞は勝手に幸せになるって。
けっこう衝撃だった、確かに俺が霞にしてやれることなんて、何もねぇなって。
自分勝手に言い訳並べて、霞の近くにいたいだけだったんだって気付いた。
何年かかってんだよって感じだけど、ようやく素直になれそうだ……。
霞が、好きだ。」
私の瞳からポロポロと溢れる涙を消太くんが拭った。
「俺たちの仕事はいつ何が起きていつ命を落とすか、わからない。
それでも命が尽きるその時まで、俺は霞の隣にいたい。
お前に、隣にいてほしい。」
溢れ出る涙なんか気にもせず、私はただひたすらに顔を縦に振った。
声が出せないのが、もどかしい。
でも出せたとしてもきっと嗚咽で伝わらないかもしれないが。
消太くんの顔が再び近付いてきて
私の瞼、鼻、頬、ゆっくりとキスを落とし、
「………好きだよ」
愛おしそうな視線に見つめられながら
もう一度キスを交わした。