第30章 シンプル
「真っ直ぐで明るくて太陽のようで
知れば知るほど、好きになるとよ……。
やけども、俺にそんな資格なくて……
ずっと言えなくて……。」
ようやく、ホークスが私から離れた。
真っ直ぐにみつめる。
ホークスも真っ直ぐに見つめ返してくれた。
「前に屋上で、勝手にキスしてごめんなさい。」
いつもは飄々とおチャラけているホークスが
目の前でシュンとしている。
少し可愛くなってきてしまった。
「私、九州は第二の故郷だと思ってるの。
一年ちょっとしか住んでないけど、ホークスがいろんなお店に連れて行ってくれたおかげで、知り合いも増えたし、好きな食べ物も増えた。
だからホークスには物凄く感謝してるんだよ?」
「霞さん……。」
「ホークス、ありがとう。
こんな私を好きになってくれて嬉しい。」
「なんか、スッキリしました。
気持ち伝えられただけで満足です。
約束通り忘れてくださいね。
霞さんの気持ちが俺にないのはわかってますから。」
ホークスは私と少し距離を取った。
顔がよく見える。
いつものようにヘラッと笑っている。
「ねえホークス、何か隠してるよね?
私には言えないこと?」
「何のことだが、さっぱり。」
すっかりいつもの調子で軽くあしらわれた。
ホークスは困ったように笑うと、これ以上は聞かないでくれと言わんばかりにクルッと後ろを振り返り、自分のマンションへと歩き出した。
「ホークスは最高のヒーローだよ。
私、信じてるからね。
でも一人で抱え込む必要ないから。
困ったらいつでも助けに行くから。」
ホークスは一瞬足を止めてこちらを振り返ると、またヘラッと笑ってから再び歩き出した。