第29章 心配のその先
学校も後期に入り、
ヒーロー科の授業内容もどんどんと濃い内容になってきている。
消太くんは相変わらず忙しそうで
目の下には隈、髪はボサボサ。
エリちゃんも一緒に生活するようになったので、初めのうちは少し髭を剃ったり清潔感を保っていたが、最近は慣れてきたのか面倒になってきたのか、身なりを気にする余裕もなさそうだ。
確かに、授業もあるし合間にエリちゃんの様子も見に行かなければいけない、放課後は心操くんの訓練もある。
私も手伝えることは手伝っているが、それでも消太くんの負担は相当なものだった。
「相澤くん、顔がどんどん犯罪者のようになっていくわね。」
「あれじゃエリちゃん怖がるんじゃねーの?」
ひざしくんとミッドナイトがコソコソと話している。
「聞こえてるぞ。」
私に聞こえているんだから、
隣の席でパソコンと睨めっこしている消太くんにももちろん聞こえていた。
「大丈夫ですよ、エリちゃんの前では優しい顔してますよ!
それにエリちゃんも慣れてきたみたいで、怖がっていません。」
私はフォローをしたつもりなのに
隣の消太くんはギロッと睨んできた。え、何こっわ。
「霞ちゃん、フォローになってないわよ。」
ミッドナイトは呆れて、ひざしくんは笑っている。
消太くんは「……ったく」と呟くと立ち上がり寝袋を抱えて職員室を出ていった。
授業に向かったのだろう。
「なーんか、心配です。
最近余裕無さそうだし。夜もあんまり寝てなさそう。」
「そうね。私の個性で強制的に眠らせる?」
「それめっちゃ怒りそうだぜ!HAHAHA」
うーん。と頭を悩ませながら再びパソコンと向き合った。