第26章 強く想う
「麗日さんも好きな人がいるとか?」
麗日さんは俯いたまま、顔を赤らめている。
「……好きってゆうか、そんなんとちゃうくて、頑張ってる姿がかっこよくて……ああなりたいなぁって、あんな風に頑張らなきゃって思わせてくれる……人がいて……でも、今はもっと頑張らないとって思うから、この気持ちはしまっておこうって決めたんです……。
でも、たまに出てきちゃうんよね……。
しまっておいてるはずなのに……。」
うまく説明できひん……と苦笑いしている。
そっかぁ、なるほどね。と私は空を仰ぎ見る。
「わかるよ、その気持ち。
私もね、高校生の時に好きって気持ちを抑え込んでた。
勢い余って告白したこともあったけど、お互い恋愛どころじゃなくてね。
強くなるのに必死すぎて、そのまま何事もなく卒業しちゃった。」
あはは~と麗日さんに笑ってみせる。
「あんな風になりたいって憧れと同時に、隣に並んで支えたいって思ったの。
一人で戦おうとする人だからね。
一緒に戦えるくらい私も強くなろうって。
だから、無理に閉じ込めてしまっておく必要なんてないんじゃないかな?
溢れ出てきちゃったって、その気持ちが力に変わる。
麗日さんなら絶対、力に変えられるもん。」
“誰かのために”を原動力にすると
自然と力が湧いてくるから、きっと強くなれる。
麗日さんも納得してくれたようだ。
自分の両手の平を見つめて、グッと力を入れて握った。
「霞先生、ありがとう!
ウチ、頑張る!力に変える!!」
うんうん。と私も笑顔で頷く。
麗日さんはキラキラしている。
私も学生の頃、こんな顔していたのかな。
そうだったらいいな。
「じゃ、そろそろ戻ろうかな!
シャワー浴びて、小テスト作らなきゃ!」
「え!?」
「抜き打ちでやるから、みんなには内緒だよ〜??」
麗日さんと笑い合いながら寮への道を歩き出す。