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partly cloudy 【ヒロアカ】

第23章 林檎と猫






エリちゃんとタクシーに乗って病院に戻る。
様子を伺いながら、俺はエリちゃんに話しかけた。



「エリちゃん、どうだった?
人が多くて怖くなかったかい?」



今日は外出に慣れることが目的。
文化祭当日は例年ほどではないが、今日より人が多い。
パニックを起こさないように細心の注意を払わなければいけない。



「うん。たくさんの人ががんばってて
どういう風になるのかなってワクワクさんだった。」


「そうか、当日も通形が一緒にいるし
出し物が終われば緑谷も一緒に周れるから。
楽しんでね。」


「……あの、霞ちゃんとも周れるかな?
おともだちだから、たくさんお話ししたいの。
あ、でも迷惑だったら周れなくてもいいんだけど……。」


さすが、霞。懐かれるのが早いな。
アイツは真面目だから、当日は生徒の為にひたすらパトロールを続けるんだろうな。
でもエリちゃんの頼みだったら休憩を兼ねて一緒に周るだろう。
帰ったら話しておくか。


「きっと霞もエリちゃんと一緒に周りたいと思うよ。
俺が伝えておくね。」


コクンとエリちゃんが頷いた。


「あとね、霞ちゃんね、
しょうたくんはヒーローって言ってたの。
わたしにとってのルミリオンさんとデクさんみたいな!
だからね、きっと霞ちゃんもしょうたくんと
一緒に周りたいって思ってると思うの。
わたしもね、ルミリオンさんとデクさんといたいなって思うから、きっと……」



エリちゃんがこんなに話しているのは初めてみた。
病院では口数が少なく、いつも静かだった。
外に出た事がこの子にとって刺激になったのなら良かった。
話す要望はほとんど人の事だけど、少しずつ子供らしく我儘をいうことに慣れていって欲しいと思う。


「わかったよ。それも伝えておくね。
俺も霞と周れたら嬉しいから。」


「うん」


エリちゃんはワクワクしているように見える。
俺も嬉しくなり、にやける顔を首元の捕縛布で隠した。



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