第21章 こころの壁
「霞先生、話しかけないでくださいよ……」
「アハハ、ごめんごめん。
でも話しながら移動できるようになった方がいいかな~って思ったから、ちょっと話しかけてみた!」
「なるほど、考えてませんでした。」
「まあ、まずは無意識に使えるようになるのが先決かな……。
そろそろ休憩挟もうか。」
広めの屋上まで登り、心操くんに飲み物を渡した。
律儀にお礼をいって受け取り、ゴクゴク飲んでいる。
「相澤先生、最近忙しそうですね。」
「そうね〜。
チームアップ要請来てるんだって。
抹消の個性はどの現場でも大活躍なんだよ。」
その分、危険はつきものだけど……。
「心操くんの個性もプロになったら引っ張りだこでしょうね!
今から覚悟しておいた方がいいよ?」
「霞先生の個性だって引っ張りだこなんじゃ?」
「ぜーんぜん。
安心安定の運搬護送係に呼ばれるくらいだよ。
まあ、個性は適材適所あるから私は私のできる事をやるだけ、だよね!」
最近の合言葉みたいになってる。
私のできる事をやる。
できる事なんて限られてるのが落ち込むところだけど……。
最近ネガティブだな、私。ダメダメ。
「俺は凄いと思います。
霞先生の個性は行きたい所へ行けるし、すぐに助けに行ける。
移動の練習してると尚更思いますよ。」
パチクリと心操くんを見ると
少し照れたように顔を背けた。
「……ありがとう、心操くん。
今、私、もの凄い感動してる!!!
心操くんに褒められた!!!」
「別に褒めてません。
さ、そろそろ練習再開しますよ。」
嬉しくてニヤニヤが止まらない!
そんなは私を置いて捕縛布で移動を始める心操くん。
私は慌てて心操くんを追いかけた。
消太くんに自慢しよ〜っと!
えへへ!