第14章 折れない意志
しばらく消太くんと廊下でしゃがみ込んでいた。
何を話すわけでもなく、ただ無言で隣にいた。
消太くんはもう怒ってはいないようだった。
呆れているだけかもしれないが……
どのくらい時間が経ったのか定かではないが、いきなりバタン!と控え室のドアが開き、物凄い剣幕でブラド先生が叫んだ。
「イレイザー!クラウディア!!」
何事かと控え室に戻ったら
テレビでは目を疑うような光景が流れていた。
『悪夢のような光景!
突如として神野区が半壊滅状態となってしまいました……!!
現在オールマイト氏が元凶である敵と交戦中!』
私も消太くんも、言葉が出ず
ただテレビから流れている光景を見ているだけ。
『えっと……何が……
え?皆さん、見えますでしょうか!
オールマイトが……
しぼんでしまってます……』
オールマイト……!!
《 君の想いは全部私が引き継ぐさ! 》
オールマイト…………!!!
「負けないで……!」
今朝話したオールマイトの言葉が頭に響き、祈るように膝を折った。
テレビの向こうでオールマイトは右腕だけのマッスルフォームで敵を地面へ殴りつける。
途端に暴風で中継ヘリが煽られたのだろう、映像が乱れた。
「……どう、なったんだ……?」
ブラド先生が呟いた。
ヘリの中継が安定し、土埃が晴れた。
オールマイトが左腕を空へ掲げた。
『オーールマイトォォォ!!!』
テレビの向こうから大歓声が聞こえる。
私はそのまま崩れ落ち、目から涙が溢れてきた。
滲んだ映像の先にオールマイトが再びマッスルフォームになり、力強く拳を掲げているのが見え、更に涙が溢れた。
『敵は……動かず!!!
勝利!!オールマイト!!
勝利の!!!
スタンディングです!!!』
聞こえてくるリポーターの声も涙ぐんでいて鼻声だ。
ワアァァァ!!!!!
いつまでも鳴り止まない歓声が耳に届き、私の涙もいつまでも止まらないままだ……。
消太くんが私の肩を抱き、ポンポンと背中を叩いた。